Def-Tech

 

10月1日に内定式なるものがありましてですね、

4月から入社することになった人たちを集めてサタデーナイトフィーバー的な?息の詰まっちまうなんか日常忘れて音の洪水に身を任せようぜ的なサムシングをやるんだそうです。

ウソです。

わたしの想像ですが、たぶん入学式から未来への希望を抜いたようなヤツです。

『学生』という肩書への告別式とも言えるかもしれません。物故者兼喪主が私です。本日はご愁傷様でした。

 

そこで同期となる人たちと初めて顔を合わせることになるのですが、いまのところいっさいの情報が入ってきていないんです。

何人いるのかとか、男女比とかも知らない。

だから入社すんのは俺ひとりかもしれないし、100人いるかもしれないし、その100人のうち俺を除いて全員が巨乳美少女かもしれないし、100人のうち俺を除いて全員がヒグマかもしれないってことなんですよ。

ヒグマは困るな―。あいつらエクセルとか使えんのかな。

そもそも式の最中に喰われちゃうんじゃないかしら。

『あー、俺エサ採用だったんだー』って右足喰われながら気づく。

『そういやグル面のとき毛深いヤツ多かったわー』って。

 

やっぱり今後一緒に働く人たちだから気の合う人であり、切磋琢磨しあえる関係になってほしいと思うし、欲を言えば巨乳美少女であってほしい。

定年まで働くことになれば40年間も同期であり続けることになるので、仲間としてもライバルとしても、意識せざるをえない関係になるのでしょう。

そんな人たちと顔を合わせるのがあさって。他の事には大概目をつむるから、とにかく、巨乳であってほしい。カップ数のアルファベットでDef-Techが作れる同期たちであってほしい。Tカップはちょっと引くわ。

 

しかし、デフテックの同期に恵まれたとしても今後の会社員としての生活が必ずしも幸せなものとは限りません。

横一線ではじまった社員生活だけど、だんだんと営業成績で同期に水をあけられるようになって、上司から毎日のように罵声を浴び、家に帰っても居場所がない。どんどん出世していく同期たちとは裏腹に、だんだんと窓際へ追いやられていく俺。次第に年下の上司が増えてきて、うだつの上がらないダメ社員だとか会社のお荷物だなんて陰口叩かれたり。

そんな毎日に嫌気がさして、深夜の公園のベンチに座り『どこで人生間違えたのかな』なんて答えの見つからない自問をしたりするんだろう。

 

そんなとき俺の右足を喰ったヒグマがどこからともなく現れて、足元にシャケをぼとりと置いてくれる。

俺はそのとき初めて『同期っていいな』って気づくことができるんだろうね。