おれは啄木に高いところからの景色を見せてあげたい
こんにちは、藤原です。
今回、全編通してわたしの顔が見えづらいため就活時に使用した証明写真のデータを貼っておきます。右クリックで保存が可能です。
みなさん石川啄木はご存知だとおもいます。
明治の時代を生きた、最も有名な歌人のひとりですね。
彼の詠んだ歌のなかにこんなものがあります
浅草の凌雲閣(りょううんかく)を見物に行き、その高さに感銘をうけた啄木。その日の日記が、とくに書くことのない退屈な日よりも筆が進んだことをおもしろく思い詠んだ歌です。
凌雲閣とはかつて浅草に存在した建造物です。1890年の開業当時日本で一番高く、はじめて電動エレベーターが導入されたことでも有名。関東大震災で半壊し、のち取り壊されました。
凌雲閣 画像・ウィキペディアより
その当時日本で一番高かった凌雲閣は何メートルだったかというと、52メートル程度しかない。たった52メートル。え?
啄木っち、52メートルぽっちでテンション上がってんの?どっひゃ~
そりゃね、100年前の当時ではさぞ高かったことでしょう。しかしいつまで昔の話を引きずってんスか。
おれが見せてやるよ、おまえがまだ見たことのない景色(セカイ)。
目指すは現代の日本で一番高い建物。
というわけで東京は浅草にやってまいりました 。
浅草寺の前でパシャリ。強度を得るため啄木の背面にダンボールを貼ったのですが、その結果カバンに入らなくなりました。わたしの正面にいる外国人にめちゃめちゃ見られていますが、ウケてはいません。
あとだれも撮影に協力してくれなかったので、すべての写真をその場その場で知らない人に頼んで撮ってもらいました。全体的にわたしの笑顔が固いのはそのためです。普段はもっとチャーミングです。
東京スカイツリー駅にやってきました!
これからスカイツリーにのぼろうっていうことで、啄木もごらんの表情です。彼をここに連れてくるために山梨からの交通費と安くないスカイツリーの入場料を払いましたが、この顔を見ることができただけでも来てよかったと思えます!
激混み。
だっっるぅ~~~~~
帰りてぇ~~~~~~~
なんか展望台まで1時間ぐらい待つみたいです。なんだよもー、みんなクリスマス近いからって浮かれ過ぎなんだよな。だいたいこんなの登ったところで
やだ、ちょうキレイ・・・。
いや、実際のところホントにキレイなんですけど、そのすばらしい夜景もわたしの『はじめての自撮り』という過程を経ることで、テフロン剥がれた実家のフライパンの底みたいになってしまいました。ホントはめっちゃキレイです。
しかしこれで啄木に日本で一番高い建物からの景色を見せてあげられたぞやったやったやったやったやったやったウホホホホーーーイちょろぺっぱちょろちょろエスティママリファナ渡辺満里奈~~~~~~~~~~~~!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!
うん、もう写真の出来はあきらめてそういうことにしよう。帰ろう。
これ以上ひとりぼっちでたくさんのつめたい目にさらされるの、耐えられないから。
スカイツリーに登ったいま、目的は達した。
たしかにおれたちは現代の日本で一番高い建物に登り、その景色を望んだ。
だけど啄木、おまえはそれで満足か?
まだ足りない。
こんなもんじゃない。
おれたちは、もっと高くへ行けるはずだ。
そうだろ、啄木。
台湾に来ました。
急な展開ですが、はるばる台湾まで来たのは理由があります。
台湾の平渓(ぴんしー)という地方では、願いを込めてランタンを空に飛ばす文化があります。もしかしたらテレビなどでご覧になったことがある方もいるかもしれません。
そのランタンに啄木をくっつければ、啄木は空に浮かびあがり、彼はさらに高い景色を見ることができるはずなのです。
さらにランタンって、光る。
そしてその光を背に受けてぼんやりと灯る啄木、、、
灯ってる啄木、見たい。
啄木、灯らせます!
台北から電車でおよそ2時間。ここが平渓です。
今回は台湾の友達が撮影に協力してくれたので、精神的にめちゃんこ楽です。こんなに友達の大切さを実感したこと、ない。
そんでこれが実際のランタンです。ランタンというよりは気球のようなもので、けっこうでかい。
火を使うのでけっこう危険なのかと思ってましたが、続々とランタンが空に浮かんでゆきます。みんな楽しそう。
こういう状態で売っていて、みんなここに願い事を書いたりする。わたしはここに啄木を貼っつけたい。
ランタンを売っているおばちゃんに啄木見せて、貼っつけていいか?って聞いたら、超ウケた。東京では一切ウケなかった啄木がここにきて満点大笑いである。これは期待がもてるぞ。
おばちゃんが言うには重さの面でもまったく問題ないらしい。たしかに実物のランタンを見るとわかるが、かなり強い素材でできていて簡単には破れなさそうだし、空にのぼってゆく速さを見ると浮力もだいぶありそうだ。啄木をダンボールからはがして紙だけの状態にすれば軽々と飛んでいきそう!
実際に貼っつけたのがこちら。
あ、いい。
ぴったり。
啄木が空に浮かんでゆくイメージが湧いてきます。
しかしだれよりも孤独に敏感であり、人のぬくもりを欲しがった啄木である。空の旅もひとりではきっとさみしがるだろう。
友人代表・金田一京助
啄木の妻・節子
2017年の台湾にて集結。
超カッコイイ。アベンジャーズみたい。
いよいよ啄木を空に浮かべるときがやってきました。
ようやく本懐を遂げることができます。
ふたりでいろんなとこにいきました。
ここまでながい旅だった。
ここからさきの出来事をお伝えするのはわたし自身ほんとうに心苦しいのですが、結論からお話しします。
炎上
啄木、炎上
紙の重みにランタンが耐えられずバランスを崩し、内部の火に引火しました。 おばちゃんの話では「やっぱ重すぎたわ、わっり」だそうです。
そりゃないよ~~~~~~~~~~
金田一と節子は難を逃れましたが結局空に浮かべることはできませんでした。
失意の帰宅です。
みなさんもランタンで歌人を空に浮かべる際はお気をつけください。